「彼女に花束を」
著:もなみ。
■あらすじ
僕は彼女が好きだった。だけど、僕には勇気がなく、彼女に告白することができなかった。
そんな時見つけたのが、そこの花屋だった。代わりに花束をプレゼントしようと思った主人公の本当の想いとは。
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いつも通る帰り道に花屋があることに気がついたのは、彼女に花をプレゼントしようかな、と思った時だ。
僕は彼女が好きだった。だけど、僕には勇気がなく、彼女に告白することができなかった。
そんな時見つけたのが、そこの花屋だった。
花を贈るということは、僕には似合わないことだと思ったが、言葉で直接伝えるよりも想いが伝わるのではないかと考えた。
だが、彼女の好きな花を知らないので僕は毎日のように花屋へ行っては、どれにしようか迷い、結局買うことができなかった。
彼女は飾ることのない真っ直ぐな女性だった。
そんな彼女に似合う花はどれなのかと毎日のように考えていた。
考えすぎて空回りしてしまった僕は、彼女とは正反対のようなバラの花を買ってしまった。
僕は口がうまい方ではないので、何も言えずに、その花を渡すことが精一杯だった。
彼女は微笑み、喜んでくれた。
だが、彼女に僕の気持ちが伝わることはなかった。彼女は結婚するのだ。
僕は知っていた。彼女の結婚を。
バラの花に密かに想いを込めて、彼女の結婚を祝った。
彼女は結婚のお祝いの花束だと思っていたのだろうが、僕にとってこの花束は、ひとつの勇気だったのだ。この気持ちを花束にのせた。
一本の花が僕の想いだとしたら、僕の想いはひっそり募って一本、また一本と募っていった。
やがて、それは花束になり、カタチを変えることができた。
僕は彼女を心から祝ってあげることができたのだ。
どうか、彼女が幸せでありますように。
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