いつものカフェで会いましょう。 


「いつものカフェで会いましょう。」

著:もなみ。 

■あらすじ
いつも通っている喫茶店で本を読むのが私の毎日の楽しみだった。そこに現れたのは、若い男性。彼とはその喫茶店で会うのが日課になって。

 

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いつも立ち寄る喫茶店。
1日の疲れを癒す本。

この喫茶店で本を読むのが私の毎日の楽しみだった。ストレス社会で生きていく為には、何かしらの楽しみを見つけられないと自分を見失いそうになる。

小説を読みふけっていると近くにスラリとした男性が座った。シャープなシルエットが美しく、何となく目を引く。前髪は目にかかりそうだがさらりとしていて清潔感がある。
私と同い年くらいだろうか。または年下か。
珍しい、こんな若い人がこの喫茶店に来るなんて。ここは私の行きつけのお店で、客は少し年配気味のおじさんなんかが多い。だからこそ、私はここで落ち着いて本が読める。

彼は熱心にゴールドの万年筆で何かを書きはじめた。とても集中していて、筆は止まることを知らない。私は感心しながら眺めていると、彼は気付いたのか、こちらをチラリと振り返る。
私は、ハッとして反射的に目をそらす。
いけない、こんなに見られてたら誰だって嫌な思いをする。それに、このお店に来づらくなってしまったら、困るのは私だ。

読み途中の本を開き、また読み始める。ページをひらく音がとても心地よい。残りページの厚さを手で確認しながら、終盤の高まりを冷まさず、一気に読み終えた。

ほぅ、とため息が漏れる。読み終えた本に浸ろうと、もう一度本を開こうとすると隣から気配を感じた。
万年筆の男性がこちらを眺めていたのだ。
驚きつつ、どうしたらいいかわからずで困っていると男性はゆっくりと口を開いた。
『本、そんなに好きなんですか?』
私は呆然としてしまったが、『あ、はい』と、か細い返事を咄嗟にした。
『ため息が出るほど、その本が面白かったんですね、なんという本ですか?』
聞かれてたんだ…
『あの、私…お仕事の邪魔をしてしまいましたか?』
男性はキョトンとして
『いえ、本を読むあなたがあまりにも楽しそうでしたので気になってしまいました。どんな本なのですか?』
私は今会った見知らぬ男性に読み終わったばかりの本の感想を語り始めた。男性は、聞き上手なのか、私は段々と話を止めることができないくらい心が躍っていった。

それから、私はその喫茶店に行く度に彼に会っては読み終わった本の話をするようになった。
今まで本好きが周囲にいなく、地味な趣味だと言われ続けていたので感想を語り合うことなんてできなかった。
しかし、彼も本を読むことが好きなようで話も尽きない。あまり有名どころでない本まで知っていた。そして、慣性がとても良い人だということが段々とわかっていった。

ある時、彼から1つの本を貸してもらった。発売したばかりの本だった。
いつものように直ぐ読み終わりそうな厚さの本だったが、私はその本を一気に読み終えることはできなかった。
読んでいると、伝わってくるのがわかる。とても繊細で、壊れてしまいそう。
最後の一文を読んだ時、息をするのが辛かった。もし、私の勘違いでなければ…彼は…

次の日、彼はいつもの喫茶店に現れた。
いつもより耳を赤く染めてスーツを着ている。

小説の最後の言葉は
“もし、ぼくの想いをキミに伝えることが許されるのなら、2つ曲がったところのいつものカフェで会いましょう”

「ぼくの書いた小説を見せるのは初めてだったね」
やっぱり、あなたは小説家だったのね。
そう、これはあなたからのラブレター

 

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