クローン少女である


「クローン少女である」

著:ひさきさき 

■あらすじ
感情はある。表情も顔に出せる。“笑顔”になることができないだけの失敗作。覚悟はしてたけど、今年度中かぁ。
彼女はクローン少女である。
 

 

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「八宵、今年度中にお前を破棄する」
「了解でっす」

彼女はクローン少女である。

中学2年の私がそう言っても思春期ということで片付けられてしまうと思うけど、実際に私の『元』の存在がいる以上、変えがたい事実である。

陸奥村博士という天才博士サマから作られた私達は人間と何ら変わらない。喜怒哀楽もちゃんとしているし、私達はそれぞれの家庭環境でそれぞれの性格に育っている。
あ。私達、とは言ったけど、私は失敗作であるため陸奥村博士の元に居る。他の不良品と一緒に破棄されなかった理由は私が『元』に最も似ていたからだとか。まあ、最も『元』から遠くなってしまっているけど。

感情はある。表情も顔に出せる。
“笑顔”になることができないだけの失敗作。
覚悟はしてたけど、今年度中かぁ。

「陸奥村、お前文化祭実行委員だから」
「は?」

登校して、我らが二年三組の教室に入ってすぐ、学級委員長の猿渡からそんな朝のあいさつをされた。

どうして私の周りのみんなは私のことを私抜きで話して結果だけを私に唐突に伝えるんだろう。せめて、話し合いの権利が欲しいよ。拒否権と決定権が皆無って。え?なにこれいじめ?体育祭の時も運営委員にされかけたし。3種目以上出場するってことで免れたけど。でも今回は文化祭だし……文化祭って……

「実行委員って、何するの」
「……文句も言わずに取り掛かろうとする陸奥村ってすごいよな。ノリがいいのにどうしてこうも無表情なのか」

失礼な人だな。

「無表情なわけではないよ。般若のような顔もできるよ」
「やめるんだ」

とはいっても、人前で泣く機会は無いし。般若のような怒り顔が一番、表情って感じがするのだよ。

「話は戻すけど、文化祭の実行委員って何をするの。クラス展示物のリーダーとか?」

ここの中学の文化祭はクラスごとの展示物と文化部の出し物等々。ルールは飲食店禁止というのと金銭をとらないこと。他の所がどうかは分からないけど、なんとも味気のないような文化祭なのは確かだ。

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