気まぐれは神様から


「気まぐれは神様から」

著:ウル

■あらすじ

天気がおかしかったこの一年。
いつ終わるのかも分からない。
迎える年の暮れの大晦日。
日の出を見に行く短編。

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大晦日がやってきた。今年一年はずいぶんと天候がおかしかった。地球温暖化なんていわれているが、そんなことで片付けられるものではない。

夏に雪が降り、秋は紅葉の代わりに桜が舞い、そして今自分がすごしている冬には台風が来ている。

期間限定神様の気まぐれタイムなんてものがあるのなら早く終わらせてくれよ神様。

外を見る。台風の影響で風は強まり雷雨が発生している。気温だけは著しく低く、コタツにさらに潜り込む。

冬の雨はほかのどの季節よりも冷たく寒い。なんてことはないと考えていても結局は厚着をしてしまう人が大多数。

時間は午後十一時五十分。もう少しで年が明ける。毎年欠かさず初日の出を見に行き、初詣をするのだが、これでは行けるかも分からない。

「憂鬱な年明けか・・・ 」

一人つぶやき、仰向けに寝転がる。家族は父親が珍しく年末に長期休みを取れたので海外旅行に行ってしまった。なぜ連れて行ってくれない。

あと数分で年が明けると思ったとき、突然家の明かりが消えた。この時間の停電は復旧までに時間がかかる。ましてや台風の日だ。窓ガラスを横殴りの雨が濡らし、水滴は次から次へと流れ落ちていた。ため息をつき目を閉じる。

どのくらい時間がたっただろうか。ふと目を開けてのそりと起き上がる。どうやら眠ってしまったようだった。電気はまだついていない。近くにあった携帯電話で時間を確認する。

午前五時。思ったより寝ていたようだ。ふと、外を見た。雨の音が聞こえない。少し閉めていたカーテンを開いてみると雨がやんでいた。台風の影響での曇り空はそこにはなく、光り輝く星空が広がっていた。

「せっかくだし歩いて海までいくか 」

初日の出まで二時間。自分の家から歩くと一時間半ほどで海まで行ける。初日の出は毎年海で見ると決めているのだ。

履き慣れたスニーカーで玄関のドアを開ける。日も出てない外は肌を刺す冷たさがある。

家の前に続く道は空へと続いているかのように先が見えない。少し駆け足になる。

三十分ほど移動したとき、ゴロっという音がした。後ろを振り返ると先ほどまで晴れていた部分がまた雷雨になっていた。気がつくと上から下までびしょ濡れであった。しかし着替えようにも家に帰るにしては遠すぎる。仕方がなくびしょ濡れのまま海を目指して歩く。

午前六時五十九分。ようやく海に着いた。雷雨はほぼ感じないほどまで止んでいた。そのおかげか服も随分と乾いてきた。

白々と空が明るんできた。辺りを見回しても人影はない。雨の影響だろうか。

ようやく日が昇ってきたときそれを見た。砂浜には白い霧。輝く太陽を中心に虹のアーチが出来上がる。雨上がりの日の出はごく普通の景色のはずなのに瞬く間に見違える世界を見せてくれた。山には雪が降り積もり、風は一層の冷たさを運ぶ。そう、いつもの冬だ。

一月一日。元旦のこの日に神様の気まぐれもようやく終わったようだ。

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