大嫌いなボクの親友


「大嫌いなボクの親友」

著:もなみ。 

■あらすじ

主人公のジョンは犬。大嫌いな親友の裕也とのクリスマスの話。
クリスマス企画の短編小説。

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「ジョン、大人しくいい子にしてろよ」
大人しくするのはお前の方だ!裕也!
いつもいつもお前は…

「わんわんっ」

「ジョン、また吠えてるよ…ホントにうるさいんだからもう…」

ボクは裕也が大嫌いだった。
ボクより身分が下のくせに命令ばっかしてくる。

もちろん、僕は裕也の命令なんか聞いたことはない。だって身分が下なんだから。

だけど、裕也はだんだんとボクと会うことをやめてしまった。
あの頃がとても懐かしい。

***

小さい頃、ボクはノラとして生まれた。
兄弟は食べ物がなく、死んでいった。だから母親の顔も覚えていなかった。

そんな時、裕也が食べ物をくれた。
お腹がぺこぺこだったボクにとっては、裕也が残した給食のおかずがご馳走に思えた。

裕也はよくママに怒られていた。
ボクが裕也の家にやってきたときから怒られていた。
だから、この家の中で一番身分が低いのが裕也で、ママが親分なんだとすぐにわかった。

裕也はバカなヤツだった。
ボクを連れてイタズラばっかりやってママに叱られて。
でも気づくと、裕也はイタズラの回数が減り、ボクを連れていくこともなくなっていった。

***

「かわいいワンちゃん、名前なんていうの?」

誰だコイツ!ボクのテリトリーに入ってくるな!
「わんわんっ」

その子は初めて見る顔だった。

「おい、ジョン吠えるなよ。大丈夫?真美」
きっとこの真美っていうやつのせいでボクは裕也と過ごす時間が減ったんだ、となんとなくわかった。

僕は裕也が嫌いだったが、真美のせいでもっともっと嫌いになっていった。

***

寒空の下、裕也は久々にボクのところへやってきた。

「ジョン、メリークリスマス」
そうか、今日はクリスマスか。
年に一度のこのお祭りは家族みんな楽しそうに過ごしていた。
しかし、今日の裕也はなんだか楽しくなさそうだ。

「俺がお前を飼いたいって言いだしたのに、今までずっとお前のことほっといてごめんな」
どうしたんだ、急に。
裕也に元気がないと、吸い取られるようにボクの元気もなくなる。

「俺の何がいけなかったのかな…」

人間はよくわからない。
急に優しくしたり、遠ざけたり勝手な生き物だ。

裕也は気まぐれだ。
ボクが寂しい時は来てくれないのに、自分が寂しいときだけボクを頼る。
裕也のことは大嫌いだけど、そんな顔されたら…

真美のところへ行きたいのに、どうしてボクのところへ来たんだ。

人間は不器用な生き物だ。
こんな人間に拾われたから、ボクの性格もねじ曲がってしまったんじゃないだろうか。

「ジョン!?」
ボクは外へ走り出した。

どこにいるかもわからない、真美のもとへ。

ずっと一緒にいてくれなくていい。
裕也の笑顔が見れるなら。

 

大嫌いな、ボクの親友のために。

 

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「大嫌いなボクの親友」 著:もなみ。
END

他にもクリスマス特別編はコチラから読めます!
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